チャイナタウンの教育を語る上でこの公立小学校は欠かせない。場所はチャイナタウンから少し東に行ったところ、Lower East Sideの南端である。
学校名のShuang Wenは中国語の雙文(バイリンガル)を音訳したもので、文字通り英中のバイリンガル教育を行う学校だ。授業は英語が主体だが中国語の授業が毎日ある。8割から9割の子供が中国系であるため、英語ができない層に対するフォローも行っている。
この学校の特徴は勉強面の厳しさだ。算数など普通の授業が3時に終わるとその後中国語の授業で毎日学校の授業が終わるのは5時30分。そのためクラブ活動は事実上存在せずスポーツ面は弱いらしい。
学業熱心なのは数字にも表れる。私がお会いした先生は「成績はニューヨークの小学校の中でベスト3に入る」とおっしゃっていた。生徒とも会ったがみんな勉強、特に算数が好きで暗算も速く、少し前の日本の小学校教育を見ているようだ。
中国語教育は台湾の影響を強く受けており、読み書きは繁体字、発音記号は注音が使われる。校内の掲示も英中併記、ところどころに注音も見られる(写真参照)。
入学はPre-KindergartenまたはKindergartenからで、入試はないが抽選で入学者が決められる。学校のある地域に住んでいる必要はないため1時間かけて通う生徒も珍しくないとのことだ。
この学校の心配な点を一つ挙げるとすれば予算不足だろう。これはニューヨーク市の公立学校すべてが直面している問題だが、この学校は貧困家庭の子供が半分以上という事情から親からの寄付金が集まりにくい。そのため今年度は一律年間$1000を午後3時からのカリキュラムのためという名目で徴収している。
とはいえ公立の学校なのでその他の費用は無料。この学校に入って平均以上の努力をしていれば世間のトップクラスの成績は約束される上、英語も中国語も流暢になれるのはかなりお買い得といえよう。ちなみに子供同士の会話は英語が中心で、中国語なまりの英語を話す子供はほとんどいない。これはチャイナタウンの学校では見られない傾向である。
この学校がおすすめな層はこういう考え方を持った家族だろう。
- 勉強第一。モンテッソーリなどという考え方はいらない。テストができればよい。
- 教育熱心な家庭の子供が集まるような環境が理想。
- 今からの時代は英語も中国語も。
- そのためには犠牲をいとわない。スポーツチームもあきらめる。
データ
- 名称:雙文學校(PS184M Shuang Wen School)
- 所在地:327 Cherry St, New York, NY 10002
- ウェブサイト:http://www.shuangwen.org/
濃厚度
中。校長先生は英語をしゃべるので気になる方は学校見学を申し込まれたい。
0 コメント:
コメントを投稿